一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する

「大丈夫。私はここにいるよ」

 ごめんね、竜星くん、凪。今だけ……彼に嘘をつくことを許してほしい。

 竜星くんがこの後安心して眠れるように。少し、凪のフリをするだけだから。

「手術、疲れたでしょ? あまり無理して喋らないで」
「ああ。……心配かけて、ごめん、な」
「気にしないで。竜星が無事でよかった」

 そう言って微笑みかけると、竜星くんは安心したように笑って、そのまま目を閉じる。

 眠ったみたいだ。そうっと彼の手をほどいて、ベッドに戻す。

 早く本物の凪に会わせてあげたいな……。

 そう思いながら静かにドアを出ると、すぐそばの壁に背を預けて立っている柊二さんがいた。

「柊二さん?…どうして」
「……いや。きみが大丈夫かと思って」
「えっ?」
「ショックだったろ。彼のこと」

 そういえば、竜星くんが知り合いであることは手術前に柊二さんにも話していた。

 だから、私の様子が心配でここに? もしかしたら、私をオペに立ち会わせなかったのもそれが理由で……?

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