一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
私にも、後ろめたいことがひとつだけある。いや、本来後ろめたいことではないはずなのだが、自分の両親にも隠している秘密の趣味だ。
できることなら暴かれたくなかったけれど……。
おそるおそる書類をめくっていくと、普段の私の通勤風景や帰宅風景の隠し撮りが出てくる。
いつ撮られたのかまったく気づかなかったので少しの気味悪さはあるものの、そんなことよりコスプレの写真が出て来るかどうかの方が気になって仕方がない。
恐怖心から自然と薄目になって、また新しいページをめくる。
なんとなく予想はしていたものの、とうとうその一枚が出てきてしまった。
正面から顔を撮られているわけではないが、背格好もオトメのコスプレも完全に私だ。
そうだよね……プロの調査会社に調べられたなら、出てきちゃうよね……。
観念した私は薄目をやめ、改めて写真に視線を落とす。が、すぐにその違和感に気が付いた。
写真に写るオトメは男の人と腕を組んでいる。そしてふたりの後ろに写り込んでいる場所にも私は見覚えがない。