一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
写真に添えられた文書を見ると、【都内ラブホテルの入り口にて】と書いてある。撮られた時期は九月だった。
ちょうど、私が実家を出て柊二さんと同居を開始した頃だ。
ラ、ラブホテルなんて私が行くはずないじゃない!
それにこの隣の男性ってよく見たら……。女性の方は横顔だけだが、男性はその女性を見て微笑んだ顔の下半分が写っている。
これは完全に竜星くん……。ということは、必然的に隣の女性は……。
書類を掴む手がわなわな震えた。
凪……。私の神聖な衣装を、また私利私欲のために穢したわね……。しかも、私が実家を出たタイミングでこっそり衣装を使ったというのが許せない。
竜星くんの病状が安定しない今凪を責めるつもりはないけれど、彼が元気になったその時には絶対問い詰めてやる。
「これ、間違いなく姉です。隣にいるのはたぶん竜星くん」
「やはりそうか……。調査会社もきみが双子だということは知っていたはずなのに、ずいぶん適当な調査をしたものだ。とんだ濡れ衣だったと父に伝えておく」
「完全に濡れ衣……というわけではないですけど。そのことは、黙ったままでいいんでしょうか?」
写真を撮られたのは凪だった。しかし、私にコスプレの趣味があるのは事実だ。