一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
「個人の趣味にまで口出しはさせないよ。杏はこれまで通り、趣味を楽しめばいい」
柊二さんはそう言うと、これ以上見る必要はないと言うように、書類を私の手から奪ってバッグの中に戻す。
「しかし、写真に写っているのがお姉さんだと見破れなくてすまなかった。それどころか隣にいる男を見て、きみには俺以外に好きな相手がいるんだと思い込んで……子どもじみた嫉妬をして、きみを怖がらせた」
「柊二さん……」
勘違いだったとはいえ、嫉妬してくれていたの?
問いかけるように彼を見つめると、大きな手がそっと頬に添えられた。
「さっき、好きだと言ってくれてうれしかった。……俺も、杏が好きだよ」
彼の優しい眼差しと、この上なく甘い声音。気持ちがようやく通い合った喜びで、ドキン、と鼓動が大きく高鳴る。
初めての恋がこんな風に実るなんて、幸せすぎる。
想いが溢れて喉にぐっと熱いものがこみ上げ、気の利いた返事ができない。
「……今、俺たち勤務時間外だよな」
「えっ?」
「そうでなくても誰もいないし、もう我慢できないから許せ」
彼が低い声で囁いた直後、ぐっと手首を引かれて広い胸に抱き留められる。
顔を上げた瞬間顎を持ち上げられ、唇が柊二さんのそれとぶつかった。