一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
「膝枕……ってやつですか?」
「そう。病院じゃその程度の触れ合いもできなかっただろ。貴重な時間だから、少しでも杏に触れていたい」
「わかりました。恥ずかしいので、あっち向きますね」
おずおず体を動かした杏が、遠慮がちに頭を俺の太腿に乗せる。
スラックスの布越しに感じる彼女の体温は俺より熱くて、照れているのだろうと思うともっとからかいたくなってしまう。
手始めに、彼女の耳の輪郭を指先でそっとなぞった。
「ひゃ……っ」
「くすぐったい?」
「は、はい」
「じゃあこれは?」
耳朶をふにふにと弄び、それから穴の周囲をゆっくりさする。
杏は小さく震えながらも唇を噛んで耐えていたが、そのうち真っ赤になった顔で俺の腹の方へ寝返りを打ち、シャツにキュッと掴ま
る。
「柊二さん……は、恥ずかしいから……」
「恥ずかしいって、なにがだ?」
「なにがって……」
聞かなくてもだいたい想像はつくのに、つい意地悪な質問をしてしまう。
いつまでも黙ったままで答えない杏の小さな体をひょいと抱き起こすと、ソファの上で彼女を抱き寄せ、その耳元で囁いた。
「……気持ちよかったから?」