一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
「好きだよ」
愛を告白し、もう一度唇を合わせる。
ベッドの上で体の向きを変え、杏の肩を両手で包み込みながら、徐々に徐々にキスを深くしていく。
「ん……んっ……」
こわばっていた杏の体から力が自然と抜けていき、時折漏れる彼女の声と吐息が、甘いものに変わっていく。
恥ずかしそうに目を伏せつつも時々俺を見る潤んだ瞳は、微かに熱を孕んでいた。
「……脱がせてもいいか?」
「はい。……あの、でも、ちょっと待ってください」
熱に浮かされたような顔をしていた杏が、ハッとしてパジャマのポケットを探った。
真面目な彼女のことだから、抜かりなく避妊具でも用意したのか?
そんなことを思っていると、杏がポケットから出したなにかを握りしめ、そっと俺の前で手を開いた。出てきたのは、子ども用の歯磨き粉を思わせる、小さなチューブ。
なんだこれは。潤潤ホット……?
「普通の夫婦とか恋人同士が、普段からこういうアイテムを使うのかどうか私には見当もつかないので、出すかどうかすごく迷ったんですけど……柊二さんなら、どうしたらいいかご存じなのかなって」
よくわからないままチューブを手に取り、説明書きを読む。
俺はその用途と役割をすぐに理解したものの、杏がこんなものを持っていたことに激しく動揺した。