院内夫婦の甘い秘密~恋と仕事と、時々魔法~
溢れる気持ちを言葉にしながら、俺はゆっくり彼女の中へと入っていった。
きつい締めつけに押し戻されそうになりつつも、杏の様子を見ながら、深い場所まで腰を進めていく。
「痛みは?」
「痛い……というより、ちょっとお腹が苦しいです」
「一度休むか?」
「大丈夫です。だから、やめないで……柊二さんのこと、もっと感じていたい」
「杏……」
たまらず彼女を抱きしめて、甘いキスを繰り返す。
快楽を求めるのは二の次でよかった。ただ彼女の温もりを感じ繋がっているだけで幸せだ。
「このまま時間が止まってしまえばいいのにな」
彼女にのしかかったままため息交じりに囁く。
杏は俺の髪をそっと撫でて呟いた。
「……大事な時に魔法が使えなくてごめんなさい」
まるで、本物の魔法使いみたいなセリフにクスクス笑いがこぼれる。
俺は顔を上げ、杏の額にチュッとキスをした。
「使えなくてよかったよ。もしも本当に時間が止められたら、二度ときみを離してやれない。ずっとこうして、求めたくなってしまうから――」
言いながら、ゆるやかに彼女の中に熱を突き立てる。杏の吐息が途端に艶っぽいものになり、興奮を煽られた。
「ん……柊二さん……好き、好き……」
「かわいい杏。いつまでも俺だけの魔法使いでいて――」
俺たちはベッドを軋ませ、互いの脚を絡ませ、限りある時間の中で必死に愛を乞う。
またすぐに忙しない日常が戻ってくるが、つかの間の休息を噛みしめるように、いつまでも互いの肌に触れ、その温もりを分け合った。