院内夫婦の甘い秘密~恋と仕事と、時々魔法~
これまで戦いを繰り広げてきた大いなる敵に勝利し、普通の中学生に戻った主人公の愛川乙女(15)。
気がつけば学校は受験シーズンにに差し掛かっており、将来が何も決まっていない乙女は焦りを抱く。
乙女は美術部で絵を描くことだけが好きだが、その道でプロになろうというほどの強い意思もないのだった。
そんな時、彼女が淡い片想いを抱いている幼馴染の勇気くんが、真っ白なキャンバスを前に悩む彼女に言うのである。
『夢が決まってないってことは、これから自由に未来を描けるってことだ。乙女が描く未来は、きっと七色の虹みたいに綺麗だって俺は信じてる』
春風のように爽やかな笑みを浮かべる勇気くん。彼を映した乙女の瞳がうるっと揺れる。
その一連のシーンはなんともいえず甘酸っぱい気持ちを湧き起こす傑作だ。
乙女と勇気くんは第一話からこの最終話までとくに告白もしないのだが、絶対両想いでしょ!と思わせてくれる、青春ならではの関係がまたいい。
第二シリーズの高校生編ではファーストキスを済ませるが、私はプラトニックな愛を育む第一シリーズのふたりが一番好きだ。