一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
「……旦那さんになる人に反対されてるの?」
「ううん、彼は私がこういう活動をしてるのも知らない。だけど、結婚したら隠しているわけにもいかないし、彼の育った実家はアニメって言うコンテンツ自体にあまりいいイメージを持っていない、格式のあるおうちなの。だからカミングアウトするわけにもいかなくて……そろそろ、やめ時かなって」
「スモモ氏……」
好きなものを好きと言えない結婚生活なんて……スモモ氏は本当にそれでいいのかな。
思わず心配になってしまうけれど、結婚というものをちゃんと理解していない私にはアドバイスできることもない。
ただ、彼女の最後の推し活が、楽しい思い出であればいいと願うだけだ。
「じゃあ、今日は思いっきり楽しもう、スモモ氏! それと、こういうイベント参加は無理でも、作品の感想とかそういうのは時々語り合ってくれる?」
「うん、もちろんだよアンズ氏……! またDMするね!」
スモモ氏はそう言って笑った。落ち込んだ様子から少し回復したようで、ホッとする。