一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
それからは、各キャラの名前が付いた料理やドリンクを頼んで、純粋にコラボカフェを楽しんだ。スモモ氏と一緒に盛り上がれば盛り上がるほど、これからはイベントごとにひとりで来なくちゃならないのか……と寂しくなる。
彼女の他に深い繋がりのあるオタ友はいないし、いずれ受験する専門医認定試験に集中するためにも、少し活動を縮小しようかな。
万が一、千石先生に私が魔法少女オトメのファンだとばれたら、また疑惑を蒸し返すことになりそうだし……。
スモモ氏につられるようにして、私も今日の推し活を最後に、こうした遠征やイベント参加は自粛しようと決める。
最後だと思うと財布の紐が緩みまくり、私はオトメのコースターを引き当てるために飲み物を五杯も飲んでしまった。
帰る頃には胃の中がたぷたぷだったけれど、無事に目当てのコースターをゲットできたので満足感でいっぱいだった。
カフェを出た後、オトメの聖地である神社を訪れた。
巨大な石の鳥居をくぐって石段を上がると、立派な社殿とそれを取り囲むように生い茂る木々が現れる。
境内の端に小さなプレハブ小屋があり、【コスプレイヤー様のお着替えはこちらへ】とご丁寧に看板が掲げてあった。さすがは聖地巡礼を熱心に推している神社である。