院内夫婦の甘い秘密~恋と仕事と、時々魔法~
「あの、千石先生」
必死で羞恥に耐え、声を絞り出す。
彼にバレてしまったのはもう消せない事実なので、嘘をついていたことを謝り倒して、これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしますと頼み込むしかない。
だけど……私にはこの趣味を絶対に知られたくない人たちがいる。
私はスカートの裾をギュッと握りしめ、泣きそうになりながら千石先生を見上げた。
「このこと、両親には内緒にしていただけますか……?」
「内緒って、どうして」
「それは……」
うまく説明できずに口ごもる。と、その時、スモモ氏のポシェットの中でスマホが鳴って、彼女は一旦私たちのそばを離れた。
チラッと千石先生を見ると、太い首筋を流れる汗を拭うこともなく、真剣な目で私の言葉を待っている。あまり待たせてしまうのも申し訳ない。
「し、心配をかけたくないからです」
「心配?」
「私、真面目なことだけが取り柄なんです。だから、アニメ好きなだけならともかく、こんな格好をして出歩いていると知ったら両親はきっと驚くし、ますます男性に縁がなくなるんじゃないかって、きっと不安がらせてしまうから……」