一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する

 解き方がわからないって……どういう意味?

 あの時私がかけた適当魔法は、オトメの得意技を真似したものだ。

 敵を眠らせている間にオトメとラブラブになる夢を見せて戦意を奪い、目覚めた時の敵はそろって目がハートになっているというのが、お決まりのコメディな流れ。

 その台詞をちょっとアレンジして使わせてもらったのだけど……。

 そこまで考えて、ハッと思い当たった。

「もしかして千石先生も『魔法少女オトメ』に興味が? もしそうなら、喜び勇んで布教させていただきますが!」

 今までオタク仲間だったスモモ氏が戦線離脱した今、新たな仲間となってもらえるなら願ったり叶ったりだ。

 彼との同居生活にもまた違ったメリットが生まれる……!

「……きみはどうやらかなり鈍感なようだな」
「鈍感? ええと、それはどういう……?」
「まぁいい。そのうち俺の意図はわかるし嫌というほど教えるつもりだから、せいぜい戦う準備を備えておくんだな、オトメ」

 不敵に笑った彼にドキッとするも、それ以上に感じたデジャブに思わず興奮する。

「そ、それはオトメの最大の敵、独身男爵ヒトリミーノの台詞にそっくりではないですか……! やっぱり千石先生、オトメにご興味が!」

< 63 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop