一途な脳外科医はオタクなウブ妻を溺愛する
広い背中は硬くごつごつしていて、それでいて、服越しにでも伝わるくらいに体温が高い。
当たり前の性別の違いを改めて認識するとともに、指導医としてではない、男性としての彼が、胸の中で存在感を増していく。
「杏……少し、口を開けて」
「えっ、んっ、ふぁっ……」
ちゅく、と音を立てて彼の舌が口の中に滑り込んだ。初めての感覚に戸惑って、彼の背中を掴んだ手に力が入る。
柊二さんの熱や香り、体温がさっきよりもダイレクトに伝わってきて、胸がいっぱいになる。恥ずかしいはずなのに、抵抗はできなかった。
柊二さんはぎこちない動きしかできない私の舌をくすぐり、味わうように舐め、チュッと音を立てて吸う。
「ん、んぅ、柊二、さん……っ」
その全部が気持ちよくて、最初は我慢していた声が段々と抑えられなくなる。
鼻にかかった甘い声は、自分のものではないみたいだ。
「……かわいい。悪いが、止まれそうにない」
柊二さんがそんな言葉をつぶやいたのは、ひとしきり私の唇や舌を貪った後。
唇を離した彼がはぁっと息をついたので、やっと呼吸ができると安堵した直後だった。