スカイブルーPeace
それから数日経った時お母さんが買い物に出かけて家には私とお父さん、二人きりになった。私はこの前のことがあってからお父さんたちとはあんまり二人きりにならないようにしていた。だからこの日もすぐに自分の部屋に行こうとしたんだ。でもそれは阻止された。お父さんに腕を掴まれたんだ。
振り返ると不気味に笑っているお父さんが私のことを見ながら口を開いてこう言った。「お前、この間の夜見てただろ?」そう言われた途端自分の体が小さく震え始めた。
「あの事、誰にも言っちゃダメだからね。凛華はいい子だと思っていたんだけどね、あんな時間まで起きてるなんて……次はないと思え、いいな」
「……はい」
この時から私は大好きだったお父さんの事を怖いとしか思えなくなり、お父さんに敬語を使うようになった。
それから余計お母さんにもどう接したらいいのかわからなくなってたまに私とお母さんの間に気まずい空気が流れることが増えていった。

それからちょうど半年くらい経った頃、自分の部屋で学校の宿題をしているとお母さんの部屋から泣き声と物音が聞こえてきた。
私は嫌な予感がして急いでその部屋に行くと何かに怯えながら「ごめんなさい……」と震えてあやまり続けているお母さんがいた。私が声をかけても何も返してくれない。耐えきれなかった私は「お母さん!」そう大きな声で言ってお母さんの肩を掴むとビクンと大きく肩を上げて震えをさらに大きくして私の方を見た。それから少しして目の前にいるのが私だとわかると私の手を振り払って弱々しく光も何も写していない暗闇に包まれた瞳で私の事を睨んだ。
お母さんの、誰かのこんな表情を見るのは生まれて初めてでどうすることが正解なのか分からず呆然と立っているとお母さんは私をさらに睨んで思いっきり私の頬をぶって「あんたがいなければ私はこんな目に合わなくて済んだんだ。こうなったのも全部あんたのせいだ!いつもこっちの気も知らないでニコニコしちゃって、ふざけんなよ!!あんたなんて産まなければよかった、あんたなんかいなくなればいいのに!お前がいない方が幸せだ!」と怒鳴り最後に「さようなら」そう呟いて私の横を通って家を出ていった……そしてそれから戻ってくることはなかった…そしてその時私の世界からも色が消えていきあっという間に色のない世界に変わっていった。私は生まれちゃ行けなかったんだ。私が生まれなければお母さんがこんなに傷つくこともなかった。私が何かしてたらまだお母さんの傷は浅かったかもしれない。ゼンブワタシノセイ、私なんて嫌いだ。私なんかいない方がいい人間なんだ。人を不幸にするただのいらない人間。誰にも愛されていなかったし、愛されてはいけない人間なんだ。お母さんが私にくれた言葉も全部うそ、それで喜んでた私がバカみたい、こんなにお母さんを傷つけてるのにずっと笑って、お母さんのこと何も考えないで……ほんと何やってんだよ、最低だな……私……そんなことを永遠に考えるだけの日々を私はずっと送っていた……
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