スカイブルーPeace
お母さんが家を出ていってから家から一切出ずに部屋にずっと閉じこもっていた。
食欲も全然わかなくて一日に一食食べるか食べないかの生活を送っていた。
それから一ヶ月くらい経った頃、私は初めてお母さんと同じことをされた。
水を飲みにいった時にお父さんと会った。
そして「お前の顔を見るとあいつを思い出すんだよ!」そう言って何度も何度も殴られた。
殴られて当然だと思った。
私も同じことをされて初めてわかった。
お母さんがどれだけ辛くて痛い思いをしたのか、どんなに苦しんでいたか、そして心も体もどれほど傷ついたか……
私はなおさら自分を許せなかった。お母さんをこんなに追い詰めたくせに……自分は何も変わらない生活をずっと続けて……
私は幸せになる資格なんてないんだ。楽しんじゃいけない、笑っちゃいけない。人に愛されちゃいけない。
その時から私は感情をなくした。なくしたというか、何も思わないようにした。
そして心から笑うこともなくなった。心はずっと真っ暗で、一人でずっと泣いていた。

「これが私の今までの過去です。」
軽蔑しただろうか、こんなやつを助けたのかって後悔したかもしれない。
私は怖くて喜多村や晴人さんたちの顔を見られなかった。
自分の握りしめた手を見てぎゅっと強く目を閉じるとふわりと温かいものが私を包み込んだ。
びっくりして顔を上げると私の体が痛くならないようにやさしくだけどどこか力強く私のことを抱きしめてくれているのは海渚さんだった。それに少しだけど鼻をすする音が聞こえた。海渚さん、泣いてる?
「凜華ちゃん、話してくれてありがとう。今までよく頑張ったね」
「海渚さん……」
私のためにこうやって泣いてくれる人は二人目だ。
海渚さんの腕の中は暖かくてすごく居心地がよかった。
気が付くと私は自分の手を海渚さんの腰に回していた。
「つまり君の体の傷はすべてお父さんにつけられた……ってことかね?」
「はい、そうです」
すべて殴られるようになってから今までの五年でできた傷たち。治ってはできての繰り返し。
今日の傷もちゃんと治るといいけど……
「じゃああの刃物で切られたような傷もお父さんが?」
「はい。私の家門限があって、五時までには家に帰ってお父さんが帰ってくるときには必ず玄関にいって出迎えないといけないんです。それをやぶるといつもよりもひどいことをされることになっていて……過去に一度、冬に時間を二分過ぎてしまったことがあって、その時はしばらく次の日の朝まで雪が降る中外で立たされました。」
「それ、近所の人たちは何で気づかないんだよ」
「うち、家の前にテントが合って、夜はずっとそこにいたから多分気が付かなかったんだと思う」
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