スカイブルーPeace

「お前らか、凜華を連れて行ったのは」
「はい。そうです。今日は凜華さんの荷物を取りに来ました」
「ふざけんな！人の家族を別々にして楽しいか？俺は、俺は……」
不思議だ、三人で入っても暴力ふるってきたりもっと暴言言われるかと思ったのに全然そんなことされないし、髪はすごくぼさぼさになっていて寝てないのか目にクマもできてる。想像してたのと全然違う
「姉貴、咲良と荷物取りに行け」
「わかった」
凜華のお父さんにばれないように小声で姉貴に指示を出す。
この空間ではいま俺と凜華のお父さんの二人っきり。
「おい、凜華を返してくれ、凜華は俺のなんだ。凜華がいないと俺は一人なんだよ。お願いだ！凜華を返してくれ！」
は？こいつ何言ってんだよ、凜華のことさんざん傷つけたくせにいなくなったら困るのかよ、凜華は別にお前の都合のいいストレス発散道具じゃねえ
「ふざけんじゃねぇよ！何が凜華は俺のものだ、凜華がいないと俺は一人だだよ！今まで凜華がどんな気持ちでお前といたかわかるか？凜華はモノじゃない、さんざん凜華のこと傷つけたくせにどの口が言ってんだよ！凜華はお前のストレス発散のためだけの道具じゃねぇんだよ！いい加減にしろよ！凜華も凜華の母さんもでいていったのは全部お前の責任だ、一回頭冷やして自分の行動を見つめなおしたらどうだ？」
「…………全部俺の責任？どうゆうことだよ、俺はタダ愛情を与えてただけだ、それの何が間違っている！」
「どう考えても間違ってるだろ！それは本当の愛情じゃない、愛のあるやつは相手を傷つけたりしねぇよ。愛情の伝え方がおかしいんだよ！」
さすがにキレる。こいつ凜華たちの気持ち考えたことないのか？それでも本当に父親か？
「浩暉、荷物全部集めた。帰ろう。」
「っち、あぁ行くぞ」
「凜華のお父さん！」
「…………咲良くんか？」
「そうです、お父さん。私はあなたを許しません。凜華はずっとあなたを好きだった。どんなに殴られても最悪なことをされてもずっと私の好きなお父さんに戻ると、あのお父さんの笑顔は嘘じゃない、そうやって思ってました。それなのにあなたは凜華のお母さんだけじゃなくて凜華にまで手を出して、どれだけ人の心を傷つければ気が済むんですか？凜華は待っています。昔の凜華が好きな優しいお父さんを。」
「それまで私たちは凜華ちゃんを預かります。じゃあさようなら」

俺たちがそれだけ言って部屋を出ようとしても一切あの人は止めようとしなかった。
咲良の言葉、俺の言葉を聞いて、あの人の瞳が揺れていた。
あの人の心は本当は優しいのかもしれない、ただきっと間違ったほうに行ってしまっただけだ。
俺たちはあの人が自分を見つけるまで凜華と一緒に待ち続けよう。