スカイブルーPeace
私は走ってその場から逃げて理事長室に行った。
誰かにそばにいてほしかった。愛されてないとしても、それが嘘だとしても、愛がほしかった。
「まーくん…………」
まーくんは私が家を出て行って喜多村の家に住ませてもらうことになったと伝えた時「よかったな」、そういって私の頭をたくさんなでてくれた。一緒に喜んでくれた。嬉しかったよ

Side:真彦
仕事が切りの良い所まで行って、一旦休もうと思ったときいきなり扉が開いた。
ノックもしないでこの部屋を開けるのは一人しかいなかった
「まーくん…………」
凜華だ。前を見ると涙を流す凜華がいた。その瞳は光を宿すようになっていたのにまた暗闇に染まりそうになっていた。
なにかあった。それは何も考えなくてもすぐに分かった。頼ってきてくれるだけいいほうなのかもしれない。前は誰にも言わず一人でずっと抱え込んでいたから。
「凜華……」
俺が静かに凜華の名前を呼ぶと凜華は俺のほうを見て一粒の涙をこぼし
「私、あの家に戻る」
そういったんだ。
何でだ、あの家から出て喜多村の家に暮らすことになったと報告をしてきた時、凛華は心から笑っていた。嬉しそうで、そして少し不安そうだった。でも見るたびにどんどん光が増えていって俺は安心してた。
喜多村に何かされたのか?それとも他に何かあった?
「何があった」
「……っ」
俺が何があったのか聞くとさっきまで堪えてた涙が溢れるようにどんどん凛華の瞳から溢れていった。
それから五分ほどたつと凜華は落ち着いてきた
「落ち着いたか?」
「あぁ、ありがとう」
凜華は何でまたこんなに自分を責めてるんだ?
でもあの家に戻ろうとするってことはそれなりに大きな原因なはずだ
「ゆっくりでいい、何があったのか教えてくれ。」
「…………うん」
それでもなかなか凜華は口を開こうとしない。つらいことを口にすることはそれを受け入れること。
それがまだできてないんだろう。そりゃそうだ。きっと今日起きた事なんだろう。だからなおさらまだ頭で整理もできていなければ受け入れることもできていない。だから俺は凜華が言おうとできるまでただひたすら待ち続ける。
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