君は君のままでいい
ありがとう。を君に4
あれから二時間。
今は落ち着いてみんなでめちゃくちゃになった屋台のあと片付けをしている。
嵐が過ぎ去ったあとのようにみんな静かに黙々を手を動かす。
結局、学園祭は成功しなかったな。クラスアンケートを取ったり、当日の役割を振るまではうまくいったんだけどな。
やっぱ、私なんかがクラス委員長なんてやらなければ良かった。
月にこれを言ったらまた偽善者と言われてしまいそうだけど、こんなリーダーシップもない張りぼてクラス委員長の私なんかがおこがましいけど、私は協力的でないクラスメイトたちにとっても、みんなでやって良かった楽しかったと終われる学園祭にしたかったのだ。
そんなことをぼんやりと考えながら、焼きそばを焼いた大きな鉄板をグラウンドの水道で洗うため、ぐっと力を入れて持ち上げたとき、この鉄板は重くて私ひとりでは持てないということに気づいた。
引きずって行くわけにもいかないし、学校の台車でも借りてこようかと腕を組んで考えているとクラスの男子四人から声をかけられた。
「委員長。鉄板、重たいなら手伝うよ」
「こういう仕事は俺たちやるから言ってくれればいいのにー」
そう言って男子たちが鉄板をよっこらしょと持ち上げる。
「委員長ー。この鉄板ってグラウンドの水道で洗えばいいよね?」と男子のひとりが言ったので、私は「うん」とうなずいて答えた。
「あとさ、ごめんな委員長。任せっきりにして。今度から手伝えばいいことあったら遠慮なく言ってくれよな」
「そうそう。言われなきゃ俺たちなにやればいいかわかんねーからさー」
そう言って男子たちは鉄板を洗いに行った。
そのあとすぐ、「朝陽ちゃん、屋台のテントもひと通り片付け終わったよ〜」と星崎さんに声をかけられた。
「ありがとう」と私が言うと、星崎さんと周りの子たちが、「学園祭のこと、いろいろ任せっきりにしてごめん」と私に頭を下げる。
「私こそ、ごめんね。私がもっとうまくやれてれば、みんなにとってもっと楽しい学園祭になったかもしれないのに」と、私は首を横に振った。
「朝陽ちゃんが準備してくれたり、当日の役割を計画してくれたから、みんなスムーズに動けたんだよ。充分だよ」
星崎さんがそう言ってくれた。
片付けが終わったあと教室で、私が休憩していると扉ががらっと開く。
入ってきたのは先生だった。先生は申し訳なさそうに言った。
「すまん、椿。お前に任せてたら、全部問題ないと思い込んでた。さっきも吊るし上げようとしたわけじゃないんだ。今回の責任は担任の俺にある。蘇轍に怒られて俺も気づいたよ。無理をさせてすまない。椿が言った通り蘇轍は退学にさせないからな」
私は先生の、月を退学にさせないという言葉を聞いて安堵した。
先生が職員室に帰ったあと、次に教室に入ってきたのは達也君だった。
「探したよー、委員長!ごめんよぉ。ガスのこと。取りに行き忘れちゃって、こんな大事になるとは思わなかったんだ」
「達也君はもっと気をつけてよね。せめて連絡ちょうだい」と私は呆れて言うと、「俺もすっかり忘れててさ。月がスケボーやってるときに、焼きそば大丈夫かなって言ったから思い出したんだ。ガスを取りにいき忘れたことを月に言ったら怒られちゃったよ」
達也君は頭をかいて苦笑いをする。
「きっと今回のことで、俺を含めてクラスのやつらは委員長と月にいろいろ気づかされたと思う」
達也君も帰ったあと、私はひとりで教室に残って月を待つことにした。
今は落ち着いてみんなでめちゃくちゃになった屋台のあと片付けをしている。
嵐が過ぎ去ったあとのようにみんな静かに黙々を手を動かす。
結局、学園祭は成功しなかったな。クラスアンケートを取ったり、当日の役割を振るまではうまくいったんだけどな。
やっぱ、私なんかがクラス委員長なんてやらなければ良かった。
月にこれを言ったらまた偽善者と言われてしまいそうだけど、こんなリーダーシップもない張りぼてクラス委員長の私なんかがおこがましいけど、私は協力的でないクラスメイトたちにとっても、みんなでやって良かった楽しかったと終われる学園祭にしたかったのだ。
そんなことをぼんやりと考えながら、焼きそばを焼いた大きな鉄板をグラウンドの水道で洗うため、ぐっと力を入れて持ち上げたとき、この鉄板は重くて私ひとりでは持てないということに気づいた。
引きずって行くわけにもいかないし、学校の台車でも借りてこようかと腕を組んで考えているとクラスの男子四人から声をかけられた。
「委員長。鉄板、重たいなら手伝うよ」
「こういう仕事は俺たちやるから言ってくれればいいのにー」
そう言って男子たちが鉄板をよっこらしょと持ち上げる。
「委員長ー。この鉄板ってグラウンドの水道で洗えばいいよね?」と男子のひとりが言ったので、私は「うん」とうなずいて答えた。
「あとさ、ごめんな委員長。任せっきりにして。今度から手伝えばいいことあったら遠慮なく言ってくれよな」
「そうそう。言われなきゃ俺たちなにやればいいかわかんねーからさー」
そう言って男子たちは鉄板を洗いに行った。
そのあとすぐ、「朝陽ちゃん、屋台のテントもひと通り片付け終わったよ〜」と星崎さんに声をかけられた。
「ありがとう」と私が言うと、星崎さんと周りの子たちが、「学園祭のこと、いろいろ任せっきりにしてごめん」と私に頭を下げる。
「私こそ、ごめんね。私がもっとうまくやれてれば、みんなにとってもっと楽しい学園祭になったかもしれないのに」と、私は首を横に振った。
「朝陽ちゃんが準備してくれたり、当日の役割を計画してくれたから、みんなスムーズに動けたんだよ。充分だよ」
星崎さんがそう言ってくれた。
片付けが終わったあと教室で、私が休憩していると扉ががらっと開く。
入ってきたのは先生だった。先生は申し訳なさそうに言った。
「すまん、椿。お前に任せてたら、全部問題ないと思い込んでた。さっきも吊るし上げようとしたわけじゃないんだ。今回の責任は担任の俺にある。蘇轍に怒られて俺も気づいたよ。無理をさせてすまない。椿が言った通り蘇轍は退学にさせないからな」
私は先生の、月を退学にさせないという言葉を聞いて安堵した。
先生が職員室に帰ったあと、次に教室に入ってきたのは達也君だった。
「探したよー、委員長!ごめんよぉ。ガスのこと。取りに行き忘れちゃって、こんな大事になるとは思わなかったんだ」
「達也君はもっと気をつけてよね。せめて連絡ちょうだい」と私は呆れて言うと、「俺もすっかり忘れててさ。月がスケボーやってるときに、焼きそば大丈夫かなって言ったから思い出したんだ。ガスを取りにいき忘れたことを月に言ったら怒られちゃったよ」
達也君は頭をかいて苦笑いをする。
「きっと今回のことで、俺を含めてクラスのやつらは委員長と月にいろいろ気づかされたと思う」
達也君も帰ったあと、私はひとりで教室に残って月を待つことにした。