あの放課後、先生と初恋。




唯ちゃんとも、夏休みに入ってあまり会えなくなったというのに。

わたしの状況をどこで知ったのか、部活終わりにこうして来てくれる。



「卓球部ももちろん厳しいよ、強豪だもん。だとしてもさすがにそこまでじゃない。先生やコーチたちがいちばん選手を信じてくれてるよ」


「……うん」


「吹部の顧問、ちょっとおかしいんじゃないの?」


「…かも、ね」



もうあの先生は、あの先生なんだなって思うしかない。

それが彼女の指導のやり方なのだ。

そうやって今までも金賞に導いてきたんだろう。



「でもわたしには才能がなくて、ぜんぜん上達しないっていうのも事実だから」


「……それはさ、」


「大丈夫!わたしにはすごく格好いい味方がいてくれるからっ」



唯ちゃんは瞳を伏せて、小さく「私も味方じゃん」と。

そうしてわたしは暗くなるまでを待ってから帰宅するのだ。








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