あの放課後、先生と初恋。
「先生っ、いっしょにご飯たべる~?」
「…いや、俺はまだ仕事がある」
「えー、先生って大変なんだねえ」
いつも何時に寝てるの?
ちゃんとご飯は食べてるの?
…………って、俺の嫁かおまえは。
「───いひゃ!?ひゃひっ、ひぇんひぇっ」
「…せめて泣けって」
俺のつぶやきは聞こえていないようで、頬っぺたを伸ばされた皆木は騒ぎ出す。
「ひゃんひぇっ!?うーーっ」
べつに俺にくらいは隠す必要ないだろ。
つーか、俺にだけでも言えよ。
泣いたっていいし、もっと弱音を吐いて愚痴ったっていい。
「ぷはっ…!もうっ、びっくりしたよ!」
「…びっくりしただけかよ」
「へへ、うんっ。伸ばしたいなら言ってくれればいいのに~!」
伸ばしたいっつーより、触りたい、な。
そう思っていることなど想像もしていない女子高生は、俺が手にしていた缶コーヒーを自販機で探している。