あの放課後、先生と初恋。
今はバスケ部やバレー部も部活が終わって、体育館は静かだった。
なぜか体育館倉庫に転がっていたサッカーボールでトントンと遊んで、先生は倉庫を出る。
「先生っ、ボールでポンポンってするやつ!できる?」
「リフティング?」
「それっ!やってやってっ!」
するとお手伝いをしたお礼に軽く披露してくれた。
まるでボールが身体の一部みたいに、先生の足をまとわりついては跳ねている。
ぜったい地面に落ちないボールは長時間浮いているみたいで、わたしは思わず夢中になってまで目で追いかけてしまった。
「すごい…、かっこいい……」
「………こういうのも、」
「わっ、おでこに乗った!えっ、止まってる…!」
おでこの上で数秒間うごきを止めたボールは、ポンッと先生の背後に回った。
そして今度は踵(かかと)を使ってボールをすくうと、また前にくる。