あの放課後、先生と初恋。
「先生っ、プロ目指せるよ…!」
「…高校のときスカウトはかかったけど。俺はずっと教師になりたかったからな」
「え~!そうなんだあ…」
それはそれはさぞかし女の子におモテになったことだ。
何事もそっちに繋げてしまう自分が嫌で、ぷくっと頬を膨らませる。
ふっ、なんて、聞こえたぞおい。
「ありがとな皆木。助かったよ」
「いーよっ!またいつでも頼んで!あっ、わたしだけに頼んでね?」
「おー、わかった」
わかられちゃった……。
特別扱いとか、ぜったいしないのが先生なのに。
わたしをからかってるのかな。
高校2年生はまだコドモだけど、子供じゃないんだよ先生。
「僕たちはしばらく会うのはやめよう」
「どうして…!あなたに迷惑をかけているつもりはないわっ」
それは、体育館から出ようとしたとき。
甲高い女性の叫び声に似たものが聞こえて、わたしたちは思わず顔を見合わせた。
体育館裏から聞こえてきたそんな声は、数秒後にわたしたちに驚愕の事実を植え付けてくる。