あの放課後、先生と初恋。




「僕たちは教師だ。もし誰かにバレたりでもしたら………すべてを失うんだよ」


「だとしてもっ、私はあなたのことを愛しているもの…!」


「…勘弁してくれ。不倫なんだぞ、これは」



わたしが感情任せに飛び出していかないように、そして落ち着かせるためにも先生はわたしの首に腕を回してくれたままだ。

密着した背中が、カアッと全身を熱くさせた。


でも、それどころじゃない。


今日も部活で和久井先生は生徒に厳しく指導していた。

理不尽な責めも、みんな真面目に受け入れて必死だったんだ。



「仕事中は同僚として今まで通りにするが、もう必要以上に関わることは控えてほしい。…僕は妻が大切だ。きみも家庭を大切にしてくれ」


「っ…、そんなの嫌よ……」



嫌ってなんだよ。
嫌とかねーよ、嫌なんてよく言えたな。

………と、心のなかで盛大にツッコむ。


西先生は50代で、
和久井先生も40代後半。

この学校の2年生に娘までいるんだ。


これはれっきとした不倫現場。
本人たちも認めているから、逃げ場はない。



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