あの放課後、先生と初恋。




「や、やばない…?」


「…………」


「え、ふつーにヤバいよね…?先生…、今までもこういうこと、あった……?」


「あるわけねえっつーの」


「だ、だよねえ…」



なんだかんだ人間だなあって思った。

どんなに厳しい先生でも、鉄の女と呼ばれて生徒たちに恐れられていたとしても。


ただの女でしかなくて、西先生だってひとりの男でしかないんだ……って。



「せんせい、どうする……?わたし明日からどうすればいい…?」



どんな目で顧問を見ればいい?

部活では娘でもある和久井さんと接するときもあるし、きっと娘なのだから知ったらぜったい傷つく。


いいや、傷つくどころじゃないよ。


母親が不倫してるだなんてぜったい嫌だよね……。



「…俺もわかんねー」



教師じゃない、素の顔。

いちばん教師として生徒を安心させてあげなくてはいけない場面だと彼自身も理解はしているようで、とても悔しそうでもあった。



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