あの放課後、先生と初恋。
「けど、良いことなんかあるわけない。どんな形であれいつか制裁が下る。…確実に」
「……うん」
吹奏楽部はどうなっちゃうの…?
全国大会が決まったんだよ。
3年生にとっては最後の大会だ。
わたし、あの先生の指導のもとで演奏なんかしたくない。
「…先生、もう離していーよ」
和久井先生も西先生も、とっくにいないから。
首もとに回ったままの腕。
うしろから抱きしめられてるみたいに感じちゃうよ、こんなの。
「あー……」
「あーって、あー、って!なんだそれっ」
「部活、どうなんだよ」
「とくに変わったことは!!って、だから腕離してってば…!」
牧野先生ともこういうこと、してた?
だって付き合うって、手を繋いだりキスをしたり、こんなふうに触れあったりすることでしょ…?
「…嫌なのかよ」
「やだよ!!」
牧野先生と付き合ってたとか、大学時代の先輩後輩だとか。
社会人になっても再会しちゃうとか。