あの放課後、先生と初恋。




熱を冷ますように背中を向ける。


わたしだってわたしだって、こんなことにもいつかは慣れて。

思い返したとき「可愛い思い出だね」って振り返ることができるようにもなって。


そのとき隣にいる存在が先生の可能性は、極めて低いんだろうな。




「特別だよ。…かわいーよ、おまえは」




ポツリと、先生がそんなことをつぶやいていたとは知らずに。


とんでもないものを見てしまった。

最近はみんなのヒミツを知ってしまうことばかりだ。



「あら、おかえり~。今日も遅かったのねー。って、なにかあったの…?」


「お母さん……、不倫って、やっぱり許せない?」


「許せない!!」


「ひぃ…っ」



わたしにそっくりだという遺影の前。

両手をこすり合わせて、今後の安全をお願いした。



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