あの放課後、先生と初恋。

新しい顧問





「つづいて鈴ヶ谷高等学校───銀賞」



高すぎる全国金賞という壁。

今まで費やしてきた努力と日々をぶつけた精いっぱいの演奏は、審査員には届かなかった。


観客席で仲間の手を握りながら願っていた生徒たちは、悔しさに涙を流す。



「これが俺たちの実力でした。みんなに金賞を見せてやれなくて……本当にごめん」



迎えた全国大会、絶対王者とも呼ばれていた鈴ヶ谷高校は春の大会に続いて銀賞に倒れた。


喜ぶ高校生と、同じような涙を流す高校生。

みんなこの日に懸けて努力してきたんだなあって、わたしはボーッと眺めていた。



「2年生、つぎは君たちの番です。俺たちの背中を見て、俺たちを超えるような演奏をしていってください。……ここまで応援、本当にありがとう」



けれど部長さんが涙を流した瞬間に、わたしはもらい泣きをしてしまった。



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