あの放課後、先生と初恋。
「まだ卒業じゃないから、たくさん教えることはある。にいな、あたしは信じてるからね。…あんたは来年のコンクールメンバーにぜったいなれる」
「先輩っ、先輩の演奏…っ、ハートにっ、胸に届いたっていうか…!!わたしのなかではゴールド金賞でした!!皆木 にいな身体いっぱいに表現します花丸っ!!!」
「……ぷっ、あははははっ!!」
涙を流しながら笑った落合先輩につられて、3年生たちはわたしのメッセージを受け取って最後は笑顔で締めくくった。
去年よりも目標が近くにあるような気がする。
去年は右も左も分からずに、お母さんに手を引かれる子供みたいに座っていたけれど。
今年は先輩たちのことがすごく近くに感じた。
「にいな、来月の定期演奏会はもしかするとメンバーになれるかも」
「えっ…」
「2年のボーンはちょうど5人だから、経験として入れてくれるかもしれないよ」