あの放課後、先生と初恋。




「みんな不安だろうけど、やるしかないよ。こういうときこそ心をひとつにしよう」


「でもウチらどうすんの?顧問いなくなるってこと?意味わかんないでしょそれ!なんでウチらの代で変わるの?なんで今!?」


「っ、私だってわかんないよ!!」



吹奏楽部、波乱の予感。


和久井先生に憧れてこの高校にきた生徒もいて、彼女の指導を夢見ていた生徒は何人もいるんだ。

そして和久井先生を教祖のように慕っていた生徒は泣いている子さえもいる。



「自由曲アタマから。クラ、音出せる?」



そのときだった。

パンパンパンと、全員を気づかせる拍手音が響いたのは。


指揮台に立って指揮棒を手にしたのは───アルトサックス奏者だった元部長さん。



「みんなメソメソすんな!定期演奏会だって鈴高にとっては大切なステージでしょ!」


「そうそう。私たちの演奏を楽しみに毎年聴きにきてくれるファンの方もいるんだから」


「前向けってみんな!!あたしたちの後輩でしょ?」



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