あの放課後、先生と初恋。
「にいな!頑張って」
「……えっ!!落合先輩…!とっ、ソーマ先輩まで!来てくれたんですかっ」
リハーサルを終えて開演となる手前、わたしに声をかけてきた先輩がいた。
落合先輩の隣には丸刈りだった現役時代から髪が伸びたソーマ先輩がいて、つまりリア充を自慢されていることでもあるわけだ。
「メンバーになれて本当に嬉しい。この経験はぜったい大切になるから、噛みしめてね」
「はいっ!」
いつもお姉ちゃんのように見守ってくれたのが落合先輩だ。
全国大会では悔しい結果だったけれど、野球部は甲子園で見事ベスト4に入り、彼女はとても満足そうに今も笑っている。
ソーマ先輩の存在って、きっと大きいんだろうな…。
「これより第87回、定期演奏会を開催いたします」
遥人くんこと先生にも伝えてあった。
公式大会ではないけれど、初めてメンバーになれたんだよって。
ステージに座って吹けるんだ、って。
ただ今日も先生はサッカー部の指導に当たっているだろうから、わたしは期待をそっと閉じる。