あの放課後、先生と初恋。




それに教師と生徒だもんね。

特別とか、そういうのはダメだよね。



「良かったよにいな。吹けてた。ちょっと浮いてはいたけど、ちゃんと役目こなしてたじゃん」


「シャアッ!!」


「…だからそれ、運動部の返事なんだよねえ」



この定期演奏会はとくに賞というものはないため、みんなの演奏を聴く会でもあった。


わたしにとっての初めての演奏会が終わったあと、真っ先に駆けつけてくれた落合先輩。

わたしの頭を撫でて、後輩の成長を心から喜んでくれた。



「……えっ、先輩、」


「…ごめん。ちょっとね、思ったより嬉しくて。あんたが誰よりも誰よりも人一倍頑張ってたの…、あたしも知ってるから」



涙を浮かべた先輩に、心がきゅううっと温かくなる。


信じてくれている人はここにもいた。

わたしのことを見てくれていた人は、ここにも。


………先生わたしね、やっとみんなと一緒に吹けたよ。



「ソーマ先輩!いざキッスの出番だっ」


「…ここではしない」


「ここではっ、ここではですと……!」



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