あの放課後、先生と初恋。




「サッカー部の応援のほう、きみに指導を頼んでもいいか」


「えっ、わたしですか…!?」


「ああ。ランナーしてたとき、わりと親睦はあっただろ?」



頬を撫でる海風がいっそう冷たくなってきた。

12月に入って盛り上がる部は、サッカー部。


吹奏楽部は野球部の試合同様、応援に繰り出ることになっているのだ………が。


1年生中心に行かせると綾部先生は言っていて、なんとそのメイン指導者にわたしが選ばれたのだった。



「応援歌を吹けるようになることも特訓にはなるだろうからな。それに、サッカー部の顧問をしている若造は僕によく喧嘩を吹っ掛けてもくる。ってことで頼んだぞ皆木」


「ああああありがとうございます…!!先生のぶんもっ、張り切って行って参ります…!!」


「はいはい行ってらっしゃい。悪いが僕は暑苦しい屋外スポーツなんか、クソほど興味がないんだ」



綾部先生は言ってくれた。

わたしにはわたしだけの練習法がある、と。


苦手を克服というよりは、わたしには武器になりそうな部分を成長させることが今は大切だという。



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