あの放課後、先生と初恋。
そのためにも屋外という場所で、おもいっきり吹かせたいらしい。
「わたしたちは次の準決勝からサッカー部の応援に加わります!みんなで心をひとつにしてっ、頑張るぞ!」
「「「はいっ!!」」」
さっそく第3音楽室には、ほとんど1年生が集まった。
2年生はお隣の教室や個々でパート練習をしていて、綾部先生が仕事をする気になるまでの準備だ。
吹奏楽部は人数も多いため応援には持ってこいだけれど、こちらもこちらで強豪校としての練習がある。
応援に選ばれたわたしは、応援メンバーのなかで唯一の2年でもあった。
「皆木先輩、いつものアレ言わないんですか?」
すると、ひとりの後輩ちゃんはニヤニヤ顔を向けてくる。
わたしに何かを期待しているようだ。
「…いつもの……?ああ!今日は今日の風が吹くっっ!!」
「あははっ!サイッコーです!」
まるでわたしのお決まりとなったセリフ。
これを聞くと良い意味で緊張がほぐれて、なぜかやる気が溢れるのだと。