あの放課後、先生と初恋。




和久井先生がいなくなって、綾部先生にはついていけないと判断して数人の部員が退部していった吹奏楽部。

ようやく今、なんとかバランスを持ち直してきていた。



「先生っ、土曜日の準決勝がんばって!わたしもめいっぱい応援するから……!」


「応援?」


「うんっ!なんとわたし、サッカー部の応援リーダーに選ばれました…!」



ハルトを軽く揺らしながら、ちょうど鉢合わせた廊下でニッと歯を見せた。


先生もサッカー部が準決勝まで進出して、今まで以上に指導にも熱が入っている。

たまにグラウンドで厳しい声も上げているが、それは生徒たちに期待しているからこその教育。



「先生に聴かせる演奏も初めてだから、うれしい!」



向けたこぶしに、トンっと合わせてくれる。



「………2回目だけどな」


「…えっ!?あーっ!先生やっぱりだよね…!?」



けれどその試合で、わたしはとあるひとりの男の子と出会います。

サッカー部の1年生で、その子は1年生なのにレギュラーに選出されているすごい子です。



わたしが先生先生って言うみたいに、先輩先輩って言ってくる、かわいい男の子。



その子こそ、

わたしがずっとずっと大好きになる、初めての彼氏になる男の子でした───。



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