あの放課後、先生と初恋。
ぜんぶ隠して
「入った入った…!!また追加点っ、やっぱすごいわ鈴高!!!」
「こらーっ!わたしたちの喜びは演奏で!」
「あっ、はい…!!」
後半残り7分でまた追加点。
相手校との点差をどんどん広げていく我が校の調子に、これは本当に準決勝なのかと疑ってしまう。
としてもわたしの目が追ってしまう存在といえば、フィールド端からたまに見える、選手たちにサインを送っている若き監督の姿だ。
「すごいね…、強いとは聞いてたけど、まさか鈴高がここまで強いとは思わなかった」
「コーチがいいんじゃない?イッチーの教え方びっくりするくらい上手だって、うちのクラスのサッカー部も言ってたよ」
「先生ってよりお兄ちゃんみたいな感じだもんね。ほら、相手チームのコーチはおじさんだもん」
前に座った後輩ちゃんたちの会話には、実際のところ心のなかでうんうんとうなずくわたし。