あの放課後、先生と初恋。




「でも相手の吹部もめちゃくちゃ上手だよね」


「だね。音が立ってるし、一体感やばい」


「弱気にならないっっ!!」



急に声を立てて、ビクッと目の前の肩が大きく揺れた。

振り向いた子たちに笑顔を向けるわたしは、ここにいる唯一の2年だ。



「鈴高のほうが上手に決まってる!!自信持とう!」



楽器隊リーダーとして、みんなを鼓舞させることも役目だ。

わたしたち吹奏楽部の演奏に合わせて踊るチアリーダーたち。


ミニスカートにノースリーブ、みんな揃って笑顔でポニーテールだと。


先生、ぜったい見ちゃダメだよ。



「────あっ…!!」



それは後半残り2分を切ったときだ。

途端にこちら側サイドから大ブーイングが起こった。


フィールドの上、足を抱えながら転がる選手がひとり。

彼は鈴高のエースストライカーと言われていて、1年生でスタメン抜擢の実力ある子だ。



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