あの放課後、先生と初恋。
「俺もしかしたら明後日の決勝はスタメン外れてるだろうけど……、応援、来てほしいです」
「もちろん!わたし、応援リーダーでもあるから!」
「なら、ぜったい優勝しますね俺たち」
ちょうどサッカー部のひとりが然くんを呼びにきて、わたしもスタジアムを後にした。
────そして迎えた決勝。
「にいな先輩!」
「へっ、わっ、あ!!」
開始前のスタンドにハルトを持って向かおうとしていると、呼ばれる名前。
ついこの前までは他人だったというのに、名前を知って知られた関係になってしまった。
「…然くん、ユニフォーム……」
背負っていた10番は、なかった。
こういうときの声のかけ方というものが、わたしは下手くそすぎるんだ。
「…やっぱベンチすら外されました。でも必ず、怪我を治したら奪い返します」
「う、うんっ!その息だっ!あっ、吹こうか!?」
「いいんですか…?じゃあ、お願いします」
「おっけいっ」