あの放課後、先生と初恋。




「俺もしかしたら明後日の決勝はスタメン外れてるだろうけど……、応援、来てほしいです」


「もちろん!わたし、応援リーダーでもあるから!」


「なら、ぜったい優勝しますね俺たち」



ちょうどサッカー部のひとりが然くんを呼びにきて、わたしもスタジアムを後にした。

────そして迎えた決勝。



「にいな先輩!」


「へっ、わっ、あ!!」



開始前のスタンドにハルトを持って向かおうとしていると、呼ばれる名前。

ついこの前までは他人だったというのに、名前を知って知られた関係になってしまった。



「…然くん、ユニフォーム……」



背負っていた10番は、なかった。

こういうときの声のかけ方というものが、わたしは下手くそすぎるんだ。



「…やっぱベンチすら外されました。でも必ず、怪我を治したら奪い返します」


「う、うんっ!その息だっ!あっ、吹こうか!?」


「いいんですか…?じゃあ、お願いします」


「おっけいっ」



< 179 / 395 >

この作品をシェア

pagetop