あの放課後、先生と初恋。
ひたむきな想い
「あの、にいな先輩はいますか?」
「にいなちゃん?にいなちゃーーん、1年生の子が呼んでるよーー?」
廊下ですれ違うと挨拶をしてくれる。
たまたま窓から覗いた放課後に目が合うと、ペコッと頭を下げながらも笑ってくれる。
こうして教室に来てくれた、今日は。
「えっ、スコーン?」
「調理実習で作って、…でも俺的にはクッキーとかが良かったんですけど。うちの班の女子が譲らなくて」
「わあっ、すごい…!チョコチップまで入ってる……!」
家庭科の調理実習で作ったというスコーンを渡してくれる、と。
ちょうどお昼休み中ということもあって、受け取ったわたしに何かを懇願するように見つめてくる後輩くん。
こういうことかな…?と、ラッピングを外してひとつ、口のなかへ。
「おいしい美味しい!然くんは器用なんだねえ」
「よかった……、ちゃんと焼けてるか不安でした」
「焼けてる!めちゃくちゃサクサクだよ!ほら然くんもどーぞっ」