あの放課後、先生と初恋。




数個は入っていたから、ひとつは然くんに。

もうひとつはいつもお世話になっている唯ちゃんにあげよう。


みんなで分けあったほうが楽しいし美味しいもんね。



「然、それはサッカー部の全員分もあるんだよな」


「あっ、いや……、にいな先輩にだけ、で」


「は?礼儀はいつも教えてんだろ」



つぎの授業は英語。

教科書を持って現れた副担任はサッカー部の顧問でもある。


然くんと話しながらの一瞬でチラリと移された視線を、わたしが逸らしてしまった。


顔………、ものっすごくあちぃ……。



「足は大丈夫なのか」


「はい。軽いものだったので、あと1週間あれば練習に復帰できます」


「そうか。だとしても安静にしろよ」



然くんはやっぱり肉離れを起こしてしまったそうで、完治するまで3週間は必要だった。

幸いにも軽い肉離れで済み、来週からグラウンドを走れそうだとわたしにもメッセージで伝えてくれていた。


そう、なんやかんや連絡先まで交換してしまっていたのだ。



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