あの放課後、先生と初恋。




「んで皆木、」


「へぇいっ!!」


「……またお前にしか出せない返事したな」



なにいまの返事……。


唐突に呼ばれて反射的に声を上げちゃったけど、上げないほうが良かったと後悔。

でも先生のその顔が見られるなら……に、落ちる。



「これ、次の授業で使うから始まる前までに全員に配っといて」


「……なにこれ?」


「謎解き」


「謎解き?先生の自作なの?」


「ああ」



渡されたA3サイズに目を落とすと、英文とイラストが組み合わさってはクエスチョンマーク。

先生の授業は退屈しなくて楽しいと生徒たちに評判ではあるけれど、英語が大の苦手なわたしは顔が渋る。



「う~、やりたくない……」


「やらせるんだよ」


「…ぜったい?」


「絶対。つーか、そういうふうにされんのが好きだろおまえは」


「なっ、どっ、どーいう意味だ…!!」



慌てふためくわたしに、先生は骨格を器用に引き上げる。



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