あの放課後、先生と初恋。




冬休みが終わって、年が明けて、3学期が始まって。

何回かマンションでも鉢合わせたりと、先生とは顔を合わす頻度も多かった。


あの日のことは、お互い一切と触れない。


冬の魔法だとわたしは思って、先生もずっとは残らない雪にするつもりなんだ。



「にいな先輩」



先生にからかわれては真っ赤に応えるわたしを、然くんの声がスパンッと終わらせた。



「今日って部活ですか?」


「え?あっ、うん、そうだよ」


「俺、見にいってもいいですか…?サッカーはまだできないし、にいな先輩の演奏が足にもエネルギーになると思うから…」



わたしが初心者で後輩たちからもお荷物だと思われていることは、じつは然くんも知っていた。

すこし前に夜、電話がかかってきたことがあって。


やっぱりいろいろ不安になっていたみたいだったから、わたしも自分の体験談を赤裸々に伝えたのだ。



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