あの放課後、先生と初恋。




ブー、ブーと、とある金管楽器のマウスピースからTHE初心者なアンブシュア音がわたしから響く。

まるでそんなものをお求めだったかのように、じっと見つめてくる先生。



「またマウスピースに戻ったのな」


「…うん。いまだにこんなことやってちゃヤバいんだけど…、音の厚みとか安定感とか絶望的みたいで。…やっぱりわたしレベルで演奏はさせられないんだって」


「だとしても?」


「だっ、だとしてもめげないですわたし!!ふぁいとっ」


「…よし」



彼は去年からこの学校にきて、今年からわたしのクラスの副担任になった24歳のイケメン教師だ。


担当教科は英語、おまけにサッカー部の顧問。

大学時代は留学もしていたという、なんたるステータス。


は、なぜかわたしが座る向かい側に座ってきた。



「せ、先生、サッカー部のほうに行かなくていいの…?」


「…半までは俺も休憩」


「……ふむふむ」



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