あの放課後、先生と初恋。




そのうちのどちらかだけを教えてくれればいい、と。

わたしが秘密にしたいほうは秘密のままで構わないと、言われて。



「じつは……、然くんに───」



告白されました。

屋上へとつづく階段にて、コソッと伝えた。


さすがにこれは誰かに聞かれていたらいろんな意味で困る。


吹奏楽部は別に恋愛禁止とかはとくにないけれど、わたしの立場が色恋どうこうを仄めかしていたならば、後輩たちにまた調子に乗るなと言われそうだから。



「だろーね」


「えっ、わかってたの…?」


「うん。あそこまでオープンな子も今のご時世めずらしーよ」



どうやら鈍感すぎたのはわたしだけだったみたいだ。

唯ちゃんはとっくに然くんがわたしに好意を持っていることを悟っていたのだと。



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