あの放課後、先生と初恋。

もうひとつの恋





「うぅ…っ、あう……っ、おうっ」


「………おいおいおい、もう皆木はナシでいいだろーよ」


「ダメです先生…!にいなはきっと、先輩たちにいちばん思い入れがあるんです」


「そこまでか?別に卒業したあとも会えるじゃないか。きみらは大学でもやるメンツがほとんどだろうし、後輩たちの演奏を聴きに来たっていい」


「そういう問題じゃなく…!……にいな、ほら頑張って」



目を据わらせながら頬杖をつく顧問。

部長の心菜に後押しされるが、あと数分は待ってくださいという何回目かの合図をわたしは送っていた。


3年生の卒業パーティーが吹奏楽部で開かれて、そこではわたしたち後輩の演奏を聴いてもらったり、先輩たちと一緒に合奏をしたり。


最後はひとりずつ、卒業していく先輩たちに言葉を贈っていく。



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