あの放課後、先生と初恋。




みんなで何かを成し遂げるって、この瞬間がいちばん幸せなんじゃないかなって思う。

この日のために誰もが泣いて笑ってを過ごすんだ。



「4月からはまた新入生が入るだろうけど、ぜったい負けんなよにいな!!」


「ウッス…!!ソーマ先輩との結婚式にはぜったい呼んでください……!」


「ちょ…!!」



ここまで誰かの門出が嬉しくて寂しいと思ったのは初めてだった。



───先輩。

卒業、本当におめでとうございます。



ただゆっくりはしていられない。

わたしたちはそのあとすぐ、選抜吹奏楽大会という春のコンクールを3月末に迎えた。


これは残った2年生と1年生だけで挑む最初のコンクールだ。



「つづいて私立鈴ヶ谷高等学校。結果は───銅賞」



唖然とする結果が待っていた。


銅賞などないものと同じだと誰かは言い、こんな結果を学校に持ち帰れないと、誰かが言う。

やっぱり和久井先生じゃないとダメなんだと、誰かが言う。



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