あの放課後、先生と初恋。




「去年からレベル下がったよなあ、鈴高は」


「そういや顧問が変わったらしいな。新しい指導者は誰だかサッパリだ」



観客たちからも、そんな声。

3年生がいなくなっただけでここまで違うのかと、わたしは客観的に見るしかできなかった。


そう、わたしはメンバーには選ばれず。


しっかり見ていろ───と、始まる前に綾部先生には言われていた。



「総評、…“鈴高にはもっと期待していた。全体の主張が弱く、音の世界を広げづらかった”。……とのことです」



集まった会場外で、評価シートを手にした心菜は言葉に詰まりながらも審査員の評価をみんなに聞かせた。



「皆木、おまえはどう感じた?」



そこでわたしに振ってきたのは綾部先生だった。

メンバー外のわたしの意見を聞いたところでどうなるんだと思ったけれど、先生はわざわざ聞いてきたのだ。



< 215 / 360 >

この作品をシェア

pagetop