あの放課後、先生と初恋。
できれば言って欲しい。
俺になにか気をつかって遠慮することだけはやめて欲しいんだ。
俺はもう伝えているから、あとはアプローチするだけ。
その上でにいな先輩が俺の気持ちに応えられないなら、それはそれでいいから。
ただ、やれるところまではやってみたい。
もし、という希望が1%でもあるのなら、やってみたいよ。
「………先輩?」
『……………』
「…寝て、ます?」
『………んん……』
寝息が聞こえる。
妄想を掻き立てられるような甘えた声をずっと聞いていたくもなって、電話を切るのはもう少しあとにした。
「にいな先輩。俺をここまでサッカー以上に夢中にさせた責任………取ってよ」
好きな女の子の幸せを願いたいから、いつか先輩の恋が叶ったら、それはそれで嬉しい。
もし叶わなくて俺を選んでくれたとするなら。
それもそれで、俺は嬉しい。
そしてそのときは、誰よりも先輩を笑顔にして幸せにする自信がある。