あの放課後、先生と初恋。




「せんせ、」


「…ん?」



好き、は、伝えた。

結婚しよう、も、とっくに。


高校3年生になって、過去の自分はどうしてあんなにも包み隠さず愛を届けられていたんだろうと急に不思議になった。



「んーん。呼んでみただけっ」



これがわたしの恋なんだから。

わたしが自分で選んで好きになった恋なのだから、境遇に文句を言ったって仕方ない。


ただ、叶う可能性は前よりもまた低くなってしまうことだけはハッキリとしていた。



「にいな先輩」



そして2年生になった然くんのほうが当たり前に声をかけてくるようになった。

ウワサでは新1年生に人気すぎてサッカー部のマネージャー候補が歴代でいちばん多い………らしい。



「先輩も今日から部活ですか?」


「う、うん」


「帰り、待っててもいいですか?送っていきます」



今月から春季大会の予選が始まるためか、然くんは気合いが入っていた。

しかしわたしに対する特別扱いもまた、1年生のときよりパワーアップしているように感じる……。



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