あの放課後、先生と初恋。




体力&実力バカたちが揃う名門校でもあるこの高校で、それがどれだけすごいことか。



「皆木さん、サーブのやり方……教えてもらっていいかな?回転をかけてみたくて…」



休憩に入ろうとしていたわたしにそう言ってきたのは、おなじ吹奏楽部の坂田さんだった。

そういえば坂田さんも卓球だったっけ…。



「えっとね、下から撫でるように素早く止める感じ!」


「……こんな…感じ?」


「そうそう!あっ、だったらわたしのラケット貸してあげる!これ、中学で使ってたものなんだ」


「ありがとう皆木さん」



部活は部活、授業は授業、だもんね。

そのメリハリを付けられるくらいにはわたしだって子供じゃない。


嫌な顔せずサーブを教えてあげたわたしに、坂田さんはつぶやく。



「皆木さんはぜったい、卓球部のほうがいいと思うのに」



サーブの打ち方を丁寧に教えてあげたよ。
ラケットだって貸してあげたよ。

そのお礼がそれか、と。



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