あの放課後、先生と初恋。
「…でさ、いい加減やめたらどう」
「むりっ!にじゅうさんっ、にじゅう……よんっ、にじゅう……ごっ!!」
あいつ何やってんの───?と、グラウンドにいる生徒たちみんなの視線を感じる。
サッカーの応援ではなく、ひとり鉄棒でエンドレス逆上がりをしている女子生徒を見れば当たり前の反応だ。
唯ちゃんは呆れたようにため息を吐きながらも、わたしの勇姿を見届けてくれている。
「こちとらご褒美ツーショットが待っているんだぁぁぁっ!!さーんじゅっ…!!」
体力だけには自信があるの。
吹奏楽部に入部した当初も、最初は体力づくりに階段ダッシュやグラウンドを何周も走らされた。
生き残っていたのはわたしだけという伝説だけは持っていたりして。
「はあ…っ、はっ!……よんじゅー、きゅう!」
しかしさすがに、50回手前で限界は訪れる。
握力がびっくりするほど皆無。
手のひらは豆だらけで、ヘロヘロになりすぎて身体の感覚もなくなってきた……。